今日でもう、何日になるかなぁ・・。貫太郎がいなくなっってから。貫太郎は私が拾った猫。

 今日みたいに雨が降っちゃうと、帰り道がわからなくなる。おまじないで、猫ご飯の器をひっくり返して、「犬」と書いてあるんだけど帰ってこないなぁ。

 うちは、猫がたくさんいるし(全部で10匹ほど)、区画整理で道が広くなって、裏道だというのに、ぶっ飛ばすばか者がいるんで、猫達は隔離してあるんだけど、私がきちんと窓を閉めてなかったもんだから、逃げ出してしまった。

 彼と会ったのはサークルKの駐車場だった。今から足掛け5年前のことだ。子猫というよか中猫。
 やさしい顔をしていたんで、てっきりメス猫かと思ったんだ。当時、すでに私の猫としてオスが二匹いた。


 深夜、仕事の帰りに買い物をすると、駐車場の影に必ず2匹現れて、餌をねだる。一匹が貫太郎、もう一匹は、人間不信の子だった。塩分が多いなぁ・・と思いつつ、コンビニの惣菜コーナーで「ししゃも」や「ちくわ」なんかを買っては、あげていた。

 いろいろ迷った末、一匹は捕まえられないけど、もう一匹(貫太郎)の方は抵抗しなかったら、うちの子にしようと決心して、貫太郎を抱き上げると「なぁに〜〜?」みたいな顔をしたけど、抵抗はしなかった。で、うちの子になった。

 メス猫だったら六ヶ月かな?・・・って感じだったんで、発情期が来ると大変だし、すぐに獣医へつれていくと、なんとオスでしかも去勢は済んでいた。

 あと、今、私の猫は「ゴン太」と「なな」と「すず」がいるんだけど、この子達は赤ん坊から育てた子ばっかりなんで、人間に対して、警戒感が少ない。特に「ゴン太」は猫というよか、犬に近い。
 そんな中で貫太郎は、ちょっと違う性格で、とくにこの頃は、私が拾わなかったら今頃、死んでたかもしれないけど、もっと自由にあちこち行けただろうな・・ということで、内心どっちがよかったんだろう・・・と思うことも多かった。

 貫太郎を拾ってすぐ、次女が「すず」を拾った。貫太郎も「ヨチヨチ」されるのは、嫌じゃないみたいなんだけど、体を硬直させる。

 「すず」なんかは、そん時は嬉しくなって、ゴロンと寝転び、腹を見せる。「お前、そりゃリラックスし過ぎだろ!?」と言いつつ、人間は嬉しい。

 貫太郎はもう、大きいから、誰かに拾われるとは考えにくい。餌はあちこちに置いてあるから、近くにいれば、飢えることはまずないだろうとは思う。

 赤ん坊から人間が育てた猫は、赤ん坊のまま、自立はしないらしい。だから、貫太郎以外は今も赤ちゃんなんだろうね。

 しかし、彼は、恐らく、中学生か高校生くらいには、なってたんだと思う。帰ってきてくれたら嬉しいけど。彼がまた、私たちと一緒にいるという道を選択したんだからね。

 だけど、帰ってこなくても、きっとそれは、彼が選んだ幸せかもしれないと思って、悲しむよりは、幸せを祈ってやりたいと思う・・・・。