前略・・・不二家さま


  昭和20年代生まれ・・・う〜〜ん、30年代前半も入るかもしれませんが・・・というのは、貧しい日本を知っている年代です・・。

  私は6月生まれですが、誕生日・・っていうと、父が釣ってきた「鮎」か、まだ、ハンバーグなんて珍しい頃で、

  当時ちびの私には、自分の「顔」くらいもあるかと思われた「不二家のレストラン」のハンバーグを食べに連れて行ってもらう・・・、まぁ、・・・・そのくらいが、お祝いのぜいたくでした・・。


 おしゃれな「銀座の不二家」ではない、一地方の「不二家のレストラン」で、両親は多分・・、初めて「スパゲティ」を食べたと思います・・。


 私は、もう、「ハンバーグ・・♪、ハンバーグ・・♪」ってワクワクしている・・。


 で、両親は、よくわからないメニューから、おそらく「ハンバーグ」より、う〜〜んと値段の安い「スパゲティ」を頼んだんだと思います・・。


 私の記憶では、「鉄板」に乗った「イタリアン」みたいでしたが、どうやって食べるのかもおそらく知ってる人は少なかった頃です・・。


 両親は、一瞬「何だ?これ・・・」みたいな顔をしました・・・。


 よ〜〜く覚えてます。


 私は、でっかいハンバーグを食べながら・・、何で親たちが「スパゲティ」なのか、よくわからないまま、嬉しさのが先立って、食べきれないほどでかい(大きくなってからは、そう大きいとは思えなかったですが・・)ハンバーグを一生懸命食べました・・・。


 そういう時代でした・・。





 ストライプの包装紙には、心がウキウキしました・・・。





 

 私が親になっても、不二家の機関車みたいなケーキや、お雛様のケーキで、お祝いしました。


 子供たちはミルキー大好きです・・・。


 先日、久しぶりに不二家のレストランへ行くと、小さい女の子が、「お誕生日」のお祝いをしてもらっていました・・。




 時代は確かに変わって、豊かになり、子供たちも不二家のでっかいハンバーグを見ても感動しなくなったかもしれません・・。



 ミルキーより、おいしいキャンディーもあるかもしれません・・・。




 でも、思い出という記憶の中で、今のどんなレストランの味よりも、不二家の味は忘れられないものです・・・。


 そういう人は、私だけでなく・・・まだ、たくさんいるんじゃないでしょうか・・・。



 私にとって、不二家での一コマは、親になった私への「いましめ」でもあります・・・。



 そうやって、育ててもらいました・・・。



 



 「伝統」というのは、そういう人たちがいる・・・ってことではないでしょうか・・・。



 どうぞ、がんばって、会社を立て直し、初心に返られることを心から願っております・・・。


                                                              草々